後遺障害を正しく認定される方法
治療への取組み
一番大切なことは、真面目に治療に取り組む、ということです。後遺障害は、回復のために誠実に取り組み、それでも残ってしまった症状のことです。
そもそも、あなたの症状や治療経過は、毎月、医療機関から保険会社(ひいては自賠責)に報告されています。症状固定のときに「後遺障害診断書」をもらいますが(後述)、それは月次の診断書の一連の流れに続くものであり、それを集大成するものという位置づけです。
治療中から、医師らに症状を正確に伝え、理解してもらう努力が大切です。
また、必要な検査を受けることも重要です。
- 捻挫等でも、症状が激しいときは、できれば治療初期にMRI検査を受けた方がいいです。医師に相談してください。
- 上肢や下肢に神経症状があるときには、神経伝導速度検査で経過を見てもらうことも有効です。医師に相談してください。
- 関節周辺を受傷した場合、医師やリハビリ担当スタッフから、関節機能(可動域)を定期的にチェックされるはずです。後遺障害の評価において極めて重要ですから、正確に計測し、きちんと記録してもらうようお願いしてください。
- その他、器質的な損傷については、客観的な検査によって、機能回復の状況・経過を、記録してもらう必要があります。
医師に症状を理解してもらう努力や、検査で客観的所見を得ることは、もちろん、治療効果判定や治療方針策定の資料にもなるので、治療上も有益です。
いずれにしても、医師に理解してもらい、信頼関係を築いて治療に取組んでいると、そのうち医師から「症状固定の時期」と言われるでしょう。
症状固定とは、症状が安定化し、交通事故での治療に区切りをつけるタイミングのことです(「治った」という意味ではない)。
症状固定の評価を受けたら(受け入れたら)、後遺障害申請の準備に進みます。
後遺障害診断書
症状固定になったら、医師に後遺障害診断書を書いてもらうことになります。
後遺障害診断書は集大成であり、極めて重要です。
まずは弁護士に相談してレクチャーを受けてください。その上で、医師に作成をお願いするといいでしょう。
- 記載すべき事項に漏れがないこと
後遺障害診断書に指摘されている事項が、後遺障害評価の対象となります。 - 「自覚症状」欄に、できるだけ詳しく記載してもらうこと
医師の把握する「自覚症状」であることが重要です。 - 「見通し」欄に、根拠のない楽観が示されないこと
当たり前ですが、「治る」症状は後遺障害と認められません。
マイナスとなる事情
最後に、後遺障害評価においてマイナスとなる事情について指摘しておきます。
- イレギュラーな治療経過
たまにしか通院しない、通院しなかった期間がある、通院先をころころ変える、といったことです。治療効果としても、後遺障害認定上でも、マイナスに作用します。
やむを得ず転院する場合は、元の病院から新たな病院に診療情報提供書(紹介状)が交付され、情報が引き継がれるようにしておくべきです。そのように医師に相談してください。 - 症状の変遷等
特に「局部の神経症状」(後遺障害14等級)の評価にかかわりますが、当初から一貫して存在し、時期によらず常に存在する症状が後遺障害です。途中から出てきた症状や、出たり出なかったりする症状は、後遺障害と認められません。
診断書等の資料から途中出現・非常在に「見える」場合、後遺障害非該当となります。 - 医師の無理解・非協力
後遺障害認定の資料は、医師が作成した診断書やカルテです。また微妙な事案では、自賠責から医師に照会調査が行われます。医師との信頼関係を保っておくことが大切です。
症状固定後も通院継続しているか(現役「患者」か)が、事実上、影響する場合もあります。 - 整骨院
夜遅くまでやってて親切だし、待たずに済むしで、整骨院を利用する方が少なくありません。もちろん治すために有効と思うなら、整骨院に行くのもいいでしょう。ただし、整骨院は医療機関ではなく、診断書も発行できません。後遺障害認定においては、もっぱら整骨院のみに通った方は、「診断書(証拠)が足りない」状態になります。